御詠歌 一心に 南無観音と 唱ふれば 慈悲深か谷の 誓ひたのもし
白久駅から谷津川の流れに沿って進むと、
あたりは緑一色になり、三十番入口と刻まれた門柱が目に入る。
西方浄土を思わせる庭園を通り石段を上がると、
回廊を巡らした朱色の観音堂が訪ねる人を優しく迎えてくれる。
花木の多いお寺で、四季折々さまざまな美しさを見せてくれる。
本尊は秘仏としてその厨子の扉は閉められているが、
毎年4月18日の縁日には開帳される。

本尊・如意輪観世音
本尊の如意輪観世音は、元応元年(1319年)建長寺の道隠禅師が唐より奉持したと伝えられている。
唐の玄宗皇帝が、楊貴妃の菩提を弔うため自ら彫刻し、不空三蔵が開眼したといわれている。
古い納札と秩父札所の歴史
法雲寺には、古い納札が寺宝として残されており、
秩父札所ならびに日本百番観音霊場の成立を知るための貴重な史料である。
享禄四年(1531年)、天文五年(1536年)、天文八年(1539年)、
天文十三年(1544年)、天文二十四年(1555年)の6点の納札があり、
なかでも天文五年(1536年)の納札には「百ヶ所巡礼」と刻されており、
その頃に秩父札所に一ヶ寺が加えられて三十四ヶ所になり、
日本百番観音が成立したと考えれている。